「大学病院が力を付けなければ、地域医療が持たない」

「大学病院が力を付けなければ、地域医療が持たない」
 厚生労働省と文部科学省は11月18日、「臨床研修制度のあり方に関する検討会」(座長=高久史麿・自治医科大学長)の第3回会合を開き、下條文武・新潟大学長ら3人から意見を聞いた。ヒアリングでは、「大学病院が力を付けなければ、地域医療が持たない」「キャリアが見えるローテーションが必要」などの意見が出た。

 下條氏は、医師不足が深刻な地域では「大学病院が中心となって一つのチームとなることが、限られた医療資源で効果を出すシステム」と指摘した上で、「大学病院が力を付けて元気にならなければ、医療が持たないと現場では理解している」と述べた。また、臨床研修制度については、学部教育の充実策とセットで見直すべきと主張。マッチング制度についても、都市と地方のバランスが保たれるよう早急に改善すべき、とした。
 平出敦・京大医学研究科医学教育推進センター長は臨床研修制度について、「キャリアが見えるローテーション」「研修の実質を高めるローテーション」「地域医療を推進するローテーション」が必要だと主張。
 「キャリアが見えるローテーション」については、臨床研修の最初に自分の希望する科に行った上で、そこから研修を行っていくことが必要とした。また、「研修の実質を高めるローテーション」については、現在のローテーションが非常に細切れになっていると指摘。「1か月かかってようやく病棟に慣れた時点で、変わってしまう。それでは駄目だ」として、3か月単位のローテーションの推進が必要とした。
 福田康一郎・医療系大学間教養試験実施評価機構副理事長は、学部教育と卒後教育とのギャップを埋めることが緊急の課題とした上で、「大学の先生たちは自分の専門分野は大事だと思うが、その権益を守るということだけではなく、少し視野を広げていただく必要がある。全体としてどういう方向にいったらいいか、よく考えていただきたい」とした。また、「どんな社会でも同じだと思うが、医師も現場に出さないと育たない。すべてを百パーセント要求されたら、学生も現場に出て行けない。医師養成がどうあるべきか、その辺のところをあらためて社会的にも十分検討してほしい」と述べた。

 同検討会は、12月17日に4回目の会合を開催。2010年度の臨床研修に間に合うよう、年内を目途に一定の方向性をまとめる予定だ。

更新:2008/11/18 21:43   キャリアブレイン
 大学病院に残る研修医が減った理由は制度の問題だけでなかったと思います。民間病院では早くからローテート研修など現在のシステムに近い研修制度を入れていたため、病院や指導医側の受け入れ態勢が、各科毎の研修であった大学とは大違いであったのです。そのほかあまり言われていないことですが、大学医局では研究が優先されるため研修や教育を行う指導医が評価の対象にならないことも大きいと考えられます。
 小生も大学医局OBではありますが医局の人事の縛りがなくなった今、市中病院と有機的な繋がりを持って大学の医局の研修や人事を行えるようにしていかないと、地方の大学、特にその支配下にあった市中病院は医師不足加速で廃院になる虞もあります。とはいえ、いわゆるジッツ支配を復活させてはなりません。これこそ、日本の医療の質の向上を妨げてきた閉鎖的組織なのですから。
 このほか日本の医療制度を維持するには、十分な財政的支援(すなわち診療報酬の大幅引き上げ)が必要なことは議論の余地がありません。

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