抗生物質のない時代でも院内感染の予防は可能でした
帝京大病院で多剤耐性菌の院内感染、9人死亡か我が国でも多剤耐性菌の院内感染はかなり多くなってきました。保菌者が居ると完全に絶滅させることが困難でしょう。でも感染を院内に蔓延させないためのstandard precautionは行っていなかったのでしょうか。免疫能が低下した患者さんの多い大学病院などでは、よほど注意しないと院内感染がコントロールできない可能性もあります。
東京都は9月3日、板橋区の帝京大附属病院(森田茂穂院長、1154床)で、多剤耐性菌アシネトバクター・バウマニ(MRAB)による院内感染が発生し、 8月以降に9人が死亡した疑いがあると発表した。現在も院内に9人の保菌者がおり、いずれも同じ病棟で感染管理を受けている。
都福祉保健局の発表によると、同病院の入院患者からMRABが2月に検出され、4−5月に感染症例が増加した。このため過去にさかのぼって調査したところ、初めての検出は09年8月と推定されるという。
同病院では今年7月、外部委員を含む「調査委員会」を立ち上げ、8月以降には、特別な培地を用いた広範囲の監視培養を実施した。その結果、9月1日までに計46人からMRABが検出され、死亡例は27人だった。このうち9人についてはMRABによる死亡を否定できず、6人は因果関係が不明だった。12人は「因果関係なし」とみなせる症例だった。
9月2日に同病院から板橋区保健所に報告があり、都は保健所と共に立ち入り検査を実施。同病院の院内感染防止策の状況を確認し、継続的な防止策を取るよう指導した。都では「終息が確認されるまで状況を把握し、逐次、指導を行っていく」としている。
今回の院内感染を受けて都は、薬剤耐性菌に十分な注意を払い、院内感染対策を徹底させるよう都内の病院長などに3日付で通知した。
( 2010年09月03日 21:10 キャリアブレイン )
業務上過失致死などと報道されているようですが、あの警察の介入など不要(むしろ有害)であり、感染制御の組織をきちんと動かさなければ再発は防げません。そもそも個人の過失で感染が広まったわけではないのです。
抗生物質はおろか病原菌さえも知られていなかった時代に、かのゼンメルワイスは物理的な方法で産褥熱という院内感染をなくすことができたのです。手洗いや消毒などローテクそのものでしたが、病院と医療従事者が組織として正しく活動すれば結果が出せます。多剤耐性であっても院内感染をコントロールすることが可能です。